100万トークン対応AIモデル77件の実費を計算した|32件は長文で単価が上がる
この記事の要点
- 100万トークン以上に対応する有料モデルは77件。もはや特別な機能ではない
- 32件は長文になると単価が上がる。Qwen3.7 Flash は表示 $0.03 が長文時 $0.20 と6.7倍
- 90万トークン入力の実費は $0.061 〜 $56.70 で928倍の差。中央値は $1.116
- 表示されている単価だけで長文の費用を見積もると、大きく外す
「コンテキスト長100万トークン」は珍しい機能ではなくなりました。手元のデータでは77モデルが対応しています。
ただし調べていて、見落としやすい落とし穴が見つかりました。77件のうち32件は、入力が長くなると単価そのものが上がります。 表示されている単価は短い入力のときの値で、コンテキストを使い切ると別の単価が適用されます。
この記事では、その段階料金を反映した実費で77件を並べ直しました。
段階料金とは
一部のモデルは、入力トークン数に応じて単価が切り替わります。たとえば Qwen3.7 Flash はこうなっています。
| 入力トークン数 | 入力単価 /1M |
|---|---|
| 32,000未満 | $0.03 ← 一覧に表示される値 |
| 32,000以上 | $0.10 |
| 256,000以上 | $0.20 ← 100万トークン時はこれ |
表示価格の6.7倍です。長いコンテキストを売りにしているモデルほど、それを使い切ったときの単価が上がる傾向があります。
主なものを挙げます。
| モデル | 表示単価 | 90万トークン時 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| Qwen: Qwen3.7 Flash | $0.03 | $0.20 | 6.7倍 |
| Qwen: Qwen3.6 Flash | $0.1875 | $0.75 | 4.0倍 |
| Qwen: Qwen3.6 Plus | $0.325 | $1.30 | 4.0倍 |
| Qwen: Qwen-Plus | $0.26 | $0.78 | 3.0倍 |
| Qwen: Qwen3 Coder Plus | $0.65 | $1.95 | 3.0倍 |
| Anthropic: Claude Sonnet 4 | $3.00 | $6.00 | 2.0倍 |
集計方法
- データ取得日: 2026年8月3日
- 取得元: OpenRouterの公開API(
/api/v1/models)。pricing.overridesを反映 - 対象: エイリアスを除く326モデルのうち、
context_lengthが100万以上かつ入力単価が0より大きい77モデル - 比較シナリオ: 入力90万トークン+出力1万トークンで統一。コンテキスト上限を使い切りつつ、出力の余地を残した現実的な条件です
- 単価は100万トークンあたりのUSD建て。円換算は取得時点の参照レートによる概算
結果
| 100万トークン以上の有料モデル | 77件 |
| うち段階料金があるもの | 32件(42%) |
| 実費の最安 | $0.061(約10円) |
| 実費の最高 | $56.70(約9,086円) |
| 差 | 928倍 |
| 実費の中央値 | $1.116 |
実費の安い順トップ10
90万トークン入力+1万トークン出力の合計費用です。
| モデル | 実費 | 円換算 | 実効入力単価 /1M |
|---|---|---|---|
| Qwen: Qwen3.5-Flash | $0.061 | 約10円 | $0.065 |
| NVIDIA: Nemotron 3 Super | $0.081 | 約13円 | $0.085 |
| DeepSeek: DeepSeek V4 Flash 0731 | $0.083 | 約13円 | $0.09 |
| Poolside: Laguna S 2.1 | $0.083 | 約13円 | $0.09 |
| Meta: Llama 4 Scout | $0.093 | 約15円 | $0.10 |
| Google: Gemini 2.5 Flash Lite | $0.094 | 約15円 | $0.10 |
| OpenAI: GPT-4.1 Nano | $0.094 | 約15円 | $0.10 |
| DeepSeek: DeepSeek V4 Flash | $0.129 | 約21円 | $0.14 |
| Xiaomi: MiMo-V2.5 | $0.129 | 約21円 | $0.14 |
| Meta: Llama Guard 4 12B | $0.164 | 約26円 | $0.18 |
表示単価では最安だった Qwen3.7 Flash($0.03)は、実費で並べるとトップ10から外れます。 段階料金を反映すると $0.20 になるためです。
実費の高い順
| モデル | 実費 | 円換算 |
|---|---|---|
| OpenAI: GPT-5.5 Pro | $56.70 | 約9,086円 |
| OpenAI: GPT-5.4 Pro | $56.70 | 約9,086円 |
| Anthropic: Claude Opus 4.7 (Fast) | $28.50 | 約4,567円 |
同じ処理を1回行うだけで、10円から9,086円まで変わります。
見落としやすい点
1. 一覧の単価は「短い入力のとき」の値
比較表やドキュメントに載っている単価は、多くの場合いちばん安い段の値です。長文処理を前提に見積もるなら、その入力長で実際に適用される単価を確認する必要があります。
2. コンテキスト長と最大出力は別物
100万トークン読めても、一度に書ける量は別に制限されています。手元のデータで max_completion_tokens が取れた284モデルを見ると、多くは6万〜13万トークン程度です。
3. キャッシュを使えば話が変わる
同じ長文を繰り返し送るなら、キャッシュ読取の単価が効きます。手元の集計では割引率の中央値は85%でした。上の試算は毎回まるごと送り直す前提です。なおキャッシュ単価にも段階料金が適用されるモデルがあります。
4. 精度は測っていません
このデータからは精度は分かりません。 使えると謳われている長さと、実用に耐える長さは別です。
結論
- 100万トークン対応は77モデルまで広がり、対応の有無はもう決め手にならない
- 32件(42%)は長文で単価が上がる。 最大で表示価格の6.7倍
- 90万トークン入力の実費は $0.061〜$56.70 で928倍、中央値は $1.116
- 表示単価だけで長文の費用を見積もると大きく外す。 見るべきは「その長さで実際にいくらか」
訂正について。 この記事の初版では段階料金を反映しておらず、最安を $0.03、価格差を1,000倍と記載していました。実際には $0.061、928倍です。データ収集の側で pricing.overrides を取得していなかったことが原因で、収集処理を修正のうえ本文を全面的に書き直しました。誤った数値を掲載していたことをお詫びします。(2026-08-03)
各モデルの単価はAI料金比較表で毎日更新しています。料金は頻繁に変わるため、契約前には各提供元の公式ページでご確認ください。